NOTE

dear Gould

『インターコミュニケーション』の最終号を読みつつ、ジャコパスの肖像を聞きつつ、思ったのだ。Inter Communication (インターコミュニケーション) 2008年 07月号 [雑誌]出版社/メーカー: エヌ・ティ・ティ出版発売日: 2008/05/30メディア: 雑誌購入: 11人 …

文学研究をかってに救う説得力あるひとつのいいわけ

文学研究のジャンルに寄生しているわたしはかってに語学研究に罪悪感を感じていた。というのも、どちらもなにか永遠の「真理」への探求はもはや前提としていないながらも、それでも語学研究は科学的な方法論をとり、なお客観性を心がけようとしているのに対…

Medium Gebet

すでにデカルトにしてその萌芽があり、ヘーゲルが終わりを告げたにも関わらず、なぜニーチェはあれほど神の死を叫び、力への意志を設定したのかを考えずとも、コミュニケーションで満たされたこの世界はなんとも息ぐるしいのでとにかく祈ることにした。何に…

我思うとき思えば思えども思え

私にとって、「思想」はとても「リアル」だ。それはもちろん、「思想」が真理を語っているからということではない。「思想」が「リアル」だと感じるのは、むしろそれが無・意味だからだ。ボルツに『意味に餓える社会』(Sinngesellschaft)という本があるが…

めがねに「たまる」巻

『めがね』をはじめて見たときは、「自転車」のシーンにジーンときて、2度目にみたときには、ラストからの円環構造になっている冒頭の「出会い」のシーン(だから、言ってしまえば『めがね』にはじめと終わりはない)にジーンときて、もう片手ではおさまりき…

『デメキング』や『20世紀少年』を読み返していて思うが、(とりあえず)日本人の「心」を解剖するひとつの方法として、(ウルトラマンなどの)「怪獣」の表象分析があるのではないか?20世紀少年―本格科学冒険漫画 (1) (ビッグコミックス)作者: 浦沢直樹出…

『文学の触覚』 アート。平野啓一郎や舞城王太郎などのテクストを用いたインスタレーション。タイトルの「文学の触覚」がコンセプトだが、ただテクストの文字群を書物メディア上ではなく、ビデオインスタレーションとして「アート」すれば、文学における「触…

小説のストラテジー作者: 佐藤亜紀出版社/メーカー: 青土社発売日: 2006/08/01メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 44回この商品を含むブログ (70件) を見るヴィジュアルなものに対する批評法について倉石信乃の『反写真論』から大きな影響を受けたが、それ…

「ついて」について

「作品」を語る。いかに語る?ふたつある。作品に「ついて」語るのか、作品の「ように」語るのか。語るベクトル(対象)を図式化すれば、前者は静的な全体で、後者は動的な細部だ。言い換えれば前者は「デジタル−形式」で、後者は「アナログ−身振り」だ。語…

未知との遭遇

研究発表を終え、水たまりのように全くのっぺりと沈静化していた思考がまた尖りはじめている。なににもきっかけというものが必要だが、思考の場合おそらくそのきっかけでありエッセンス(ふりかけでもいい)とは問いだ。つまり、このごろまた新しく日常をつ…

実験としての思想、実践としての思考

自分にとっては、思想も小説と等しいから、きっと内容よりも思考の身ぶりが(小説でいうなら記述の運動が)気になるのだろう。しかし、それはそれでひとつの「実践」だ(といいたい)。 たとえばフーコーでいうなら「人間の死」のようなターム自体は(いわば…

悲しみのメディア

その「力」は顕現していないかもしれないが、メディアは強烈な「極私的性」を潜在的に秘めているのではないか? 出てくるまま、アイデア(情報)をぶちまけておく。 『明るい部屋』でバルトは、写真に「母」の身体を見た(いや、見てしまった)。だが、倉石…

素晴らしい世界 (1) (サンデーGXコミックス)作者: 浅野いにお出版社/メーカー: 小学館発売日: 2003/05/19メディア: コミック購入: 8人 クリック: 100回この商品を含むブログ (306件) を見る素晴らしい世界 2 (2) (サンデーGXコミックス)作者: 浅野いにお出版…

地球へ… 1 (Gファンタジーコミックススーパー)作者: 竹宮惠子出版社/メーカー: スクウェア・エニックス発売日: 2007/04/06メディア: コミック購入: 3人 クリック: 126回この商品を含むブログ (136件) を見る地球へ… 2 (Gファンタジーコミックススーパー)作者…

spiritual=splitual?

去年、デヴィッド・リンチが長年続けている瞑想に関する書籍が出版された。 『電脳コイル』が架橋に差し掛かかり、『神霊狩』がまたさらなる展開を向かえている。不思議なことに、『電脳コイル』では「電脳体」、『神霊狩』では「魂」と、この2つのマンガに…

竹光侍 3 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)作者: 松本大洋,永福一成出版社/メーカー: 小学館発売日: 2007/10/30メディア: コミック購入: 2人 クリック: 18回この商品を含むブログ (45件) を見る松本大洋。この漫画を読んでいると、言語では媒介しきれない「見え…

安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方 (中公新書)作者: 山岸俊男出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 1999/06/01メディア: 新書購入: 26人 クリック: 297回この商品を含むブログ (117件) を見るNOVA、赤福、社保庁など、最近、日本で顕在化してき…

センターステージ [DVD]出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント発売日: 2007/08/29メディア: DVD クリック: 2回この商品を含むブログ (6件) を見るかつてニーチェは「わたしが神を信ずるなら、踊ることを知っている神だけを信ずるだろう」…

Customeinen

パスカルの「人間は考える葦である」というテーゼはあまりにも有名だが、これまでは多く、その「葦」の方に力点が置かれてきたように思う。だが、そうじゃない。パスカルはなにより「考える」ことの大切さを問うてきた。たしかに、この身体の内にはわけのわ…

『めがね』考

映画『めがね』を2回目に見たときに感じたのは、再見ではなく、再会だった。この感情の由来をざっとパラフレーズしておこう。 2回目に映画を見たときの「再会」といった感情はおもに次の2つのことに由来する。1.『めがね』の撮影技法そのもの。2.レイトショ…

真実の裂け目

『シガテラ』、『ちむちむ☆パレード』または村上春樹『象の消滅』を読んでいて思う。目の前にある幸せも日常も夢も、曖昧で脆いもので、結局のところ、錯覚でしかない。ロマンチックなことも、永続的なことも存在しない。悲しいことだ。でもだからって、すべ…

秋詩

「ラーメン太郎」でサラリーマンと絵に描いたような愛想のいい定食屋のおばちゃんが会話する。「ほんと、なんかいきなり寒くなったわねー。なんか最近の天気はほんとおかしいわよねー」。「ほんとそうですね、そういえばこないだも天気予報で言ってましたよ…

飛んでけ本質論

なにやら「自分探し」なんて気にしないのがポストモダン的個人らしい。へー。 今日は、っていつだろう?、ポップな自分に向けて書こう。いつにもましてモノローグだ。ワタシの地図を広げてみたらとてもポップだった。そしてそれを、悔いた、こともあった。ポ…

真理と心理の間

その倒れたフラスコから流れ出すフラストレーション。 真理はいつでも不在だ。不在はまた人を突き動かす。金が欲しいときは金がない。愛がほしいときは愛がない。頭がよくなりたいときは頭がよくない。知りたいときは知らない。神さまはいない。だからこそ神…

きれいについてのメモ

いま世の中はますます「きれい」になっていってる。これは不潔なワタシとしては、なかなかきびしいのだが、しかたがない。 でもほんとうは「きれい」なんてものはなかった。「きれい」はみんな「きれい」な人がつくったんだ。 昔の人はみんなおしっこの後に…

えくぼの表象文化論

マグロが、マグロが、ってそんなにマグロが食いたければ、胸の内を吐露すればいいだろう。 「えくぼ」のどこがカワイイのかサッパリ分からない。あれはただのくぼみだ。ただのくぼみがかわいいわけはない。いまのところ視覚的に、くぼみ(穴)=かわいい、こ…

発散24

近いうちに抑圧される予感がしてきたのでワタシの残滓を発散させよう。抑圧されたものは回帰するらしいし。 ワタシは論理を信じてない。革命とは斬首であるように、論理もまた斬首だ。「きれい」なものは存在しない。「きれい」は雑菌の排除であり、論理もま…

溶ける人間

点ではなく線で思考しろといったのは、ヴィリリオだったかドゥルーズ=ガタリだったか。 速度と歴史について語り始めた卒論だったが、いつの間にか「人間の死」について語っている。人間の死といっても終末論的なそれではない。(ペシミズムにはつねに抵抗し…

コミュニケーション速度の果て

卒論で扱う予定、というか今、扱うことに(やっと!)決めたコミュニケーションと速度に関してまた気づいたことがあるでネット上にもメモって置こう。少し酔ってるもいるし。 近代化というか、なんだか知らないが、とにかく芸術と大衆のコミュニケーション速…

脱本質論に向けて

だれが言いはじめ、いつのまに自分の身体に入り込んでいたのかは知らないが、「客観的」という言葉は問うた方がいい。「もっと客観的に考えるべきだ!」など、いろいろと冷静さ明晰さとともに用いられてきが、やはり客観的に考えるということはできるはずが…