宿仮

今日、独り暮らしをやめ、実家に舞い戻ってきた。
これが所謂、出戻りというやつだろうか。
いや、出戻りはある種のネガティブな意味合いを持ち合わせているから
これは出戻りとはまた違う。
ただ単に住処を変えた、それだけのことだ。
なぜまた実家に戻ってきたのか、理由はこれといって見つからない。
当人も気づかぬうちに、大学4年になったら実家に戻ってくるから、
そう言っていたらしく、また事実なんとなくそうなった。
しいて理由を挙げるなら、留学費用を貯めることや、親孝行のため、
そういうこともあるだろう。
しかし、これはどれも正しく、またどれも正しくない。
理論はいつだって意味の味付けであり、理由はいつだって根拠の後付けにすぎない。
やはり、ただこれといった理由もなくまた帰ってきた。
これが一番正しい。


思えば、独り暮らしといえども、
あの家で本当に独りで暮らしていたのは、
大学3年の夏以降ぐらいから、期間にしておよそ半年ほどだろう。
生々流転、様々な人物が来ては帰り、住みついては離れていった。
黴か壁か分からぬほどの汚い部屋ではあったが、
どうやら某かの人を呼び込む力だけはあったようだ。
離れてみればみたで、やはり幾ばくかの寂寥の念はある。


まあ、宿仮のような性分のぼくのこと、
2、3年もすれば、すぐまた住処を変えることだろう。
差し当たり、次は独逸といったところか。



ややっ!?今日は幾分いつもよりか日記らしいかもしれないぞ。