メカへの愛  momentan

『VANISHING POINT』(邦題:バニシング・ポイント
製作:1971年 アメリカ 監督:リチャード・C・サラフィアン 出演:バリー・ニューマン/クリーヴォン・リトル/ディーン・ジャガー/ポール・コスロ

あのプライマルのアルバムにもなったあれ。
わたしはロード・ムービーが好きだが、これはロード・ムービーではない。これはカー・ムービー。ロード・ムービーでは多くの場合、走っている前方の風景ないし車内の(たいてい)2人を映すが、この映画は車を映す。だけ、といってもいいぐらい映す。もちろん車だから走る。しかも轟音で。BGMはぶんぶんというエンジン音。ダッジ・チャレンジャーのメカニカル(いかにも機械)なボディ+サウンドアメリカ西部の荒涼とした大地が作り上げる「無機質な美学」はたいていは虚無的と表現されるものだけれど(無機質だもの)、なぜか解放や救済(エクスタシー)をイメージしてしまう。そのひたすらの刹那(スピード)にわたしも入滅してしまいたい。
とはいうものの、警察もストーリー構成もぶっちぎって意味もなく(明日もなく)暴走するコワルスキーの姿(生き様)に共感する人々そしてわたしは、この映画はアメリカン・ニュー・シネマの時代背景を反映してとかいってないで、やっぱりどこか変だ。
どうすればこの閉塞感から抜け出せるだろう?
(映画としてはつまらないにもかかわらず)意外に中毒性が高い。995円だから『バス男』に続いて買っちゃうかもしれない。