はじまりのレーニン (岩波現代文庫)

はじまりのレーニン (岩波現代文庫)

レーニンについて、というよりは、レーニン唯物論起爆剤にした西洋哲学の再発掘。ヘラクレイトスアリストテレスプラトンベーメ、カント、ヘーゲルマルクス、マッハ、ハイデッガーバタイユ記号論、システム論等と、その広範囲にわたるテクストの「読み」は(おそらく)かなり鋭くて(途中すこし振り落とされる)。
それにしても、この人は(世間的にはもはや「死に体」となった?)哲学をほんと面白そうに語る。氏によれば、哲学とは、
永遠に破壊されることがなく、けっして没することもなく、存在と生命のあらゆる場面をとおして、この世界に立ち現れ、きらめきだしている、その過剰したもの、動くもの、変化するもの、純粋な差異であるものを、ことばによって、思考できるものにつくりかえること。
であり、それゆえ、
哲学と人類学と生物学は、共通の主題をもつことになる。
という。「そんなんできるの?」というのが正直な感想だが、もしこれが「哲学」ならば、「哲学」は決して今でも「死に体」ではないし、まだまだ「鉄砲」し続けなければならないものだろうな。面白いし。
LOVE

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この人はのテクストは音楽にたとえるなら、長音の旋律がたゆたうクラシックではなくテクノだから、短音の(言葉の)ビートがかなりずんちゃしているのだが、途中、物語が収縮し始めるまでは、(さすがに)飽きて。でも、冗長になりそうな「言葉」(というかエクリチュール)を猫がいいカンフル剤になって。つまり、ブレイクビート。
まず舞台設定をしっかりとして、あとは会話(セリフ/モノローグ/語り)や場面の移動で物語を展開させていく手法は(なんだかこうしてみると)戯曲に似て。