真説 ザ・ワールド・イズ・マイン (2)巻 (ビームコミックス)

真説 ザ・ワールド・イズ・マイン (2)巻 (ビームコミックス)

「かく語りき」という章があることからも、この漫画のニーチェの「力への意志」思想との関連を想像させる。悪人はどこまでも悪人に、善人はどこまでも善人に、爺婆はどこまでも爺婆に、暴力はどこまでも暴力に描かれる身ぶりはとても暑苦しいのだが、それでも読んでしまうのは、このテクストには「社会」を覆う、きれいごとのヴェールをひっぺがす禁忌のリアリティがあるからだろう。だから、世界を透けさせることができる。
ただ、この漫画が連載されていたのは、1997〜2001年。連載開始がもう10年遅かったら、きっとこの身ぶりはもっとうすっぺらに感じたろう。