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- 作者: 永井均
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/05/20
- メディア: 新書
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「神は死んだ!」など、あれほど激しいニーチェ思想をあつかって以下のようなことはなかなか言えない。
ニーチェ的認識は、それを語ることによって、その否定が示されてしまう、といった側面を持つ。しかしおそらく、実質的にニーチェと同じような、あるいは類似した認識を持ちながら、それを語らずに、ただそれを生きて、死んでいった人々も、いたにちがいない。だから世界は、語られたもの、書かれたものの累積によって現に知られているよりも、じつははるかに健康で、はるかに高貴なものかもしれない。ニーチェの思索と書き残したものは、そういう可能性があることを、われわれに教えてくれる。
〔上掲書、217頁〕