ねじ式・紅い花 (小学館叢書)

ねじ式・紅い花 (小学館叢書)

土佐日記』や『奥の細道』、『東海道中膝栗毛』の系譜につながるような、直線的なストーリーではなく、日々の出来事を随筆的に描く筆者の手つきには、「日本の無意識」を感じてしまう。
また、物語の終わりに際立ってオチがないことは、漫画がストーリーであると同時に、当たり前のことだったのだが、絵でもあることを強く意識させる。
淡々としているにもかかわらず、また漆黒でもある、なんともいえない不気味さ(おそらく、物語がまったく停止しているのだ)はけっこう好き。
というか、一言では汲みつくせない。