寺山修司監督。スクリーンの平面上でなければもはや存在しない失われた人物、出来事、映画に対する喪的モンタージュ。登場人物に「存在」(ハイデガー)を与えるためか、映画的と称されるような凝った技巧は意外と少なく、ベタ撮りが多い。アキ・カウリスマキ監督。実在するフィンランドのバンド「レニングラードカウボーイズ」を題材にしたCool、ロード・ムービー。
レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」(1989)は、ワン・カット、ワン・カットが欧州のジャケ写のようにかっこいいにもかかわらず、服装(超リーゼント)、言語(北欧語)、音楽(カントリー)など、どこまでも寸劇的な脱臼感があり好きだが、「レニングラードカウボーイズ、モーゼに会う」(1994)では逸脱感がなく、しっかりとコメディーしていてつまらない。
あの「Bone to be wild」における興奮をもう一度。