ド劇

『メディア』
演出:蜷川幸雄 劇作・脚本:エウリピデス 出演:大竹しのぶ生瀬勝久吉田鋼太郎/笠原浩夫/横田栄司/松下砂稚子/菅野菜保之

つまんなかった。というか、自分の趣味に合わなかった。
私はどちらかといえば、現代風の不均等で劇らしくなく、ドタバタで、少し考えさせられるような劇が好きなんだけど、この『メディア』はまさにTHE・劇。重鎮“世界”の蜷川此処に在り。といった感じでどーも…。
だから、あのセリフを言う時は一歩前にでて、声はしっかり張って、ひとりずつしゃべる。みたいなノリにはあまりついていけず、うつらうつら。
ところが、最後にすごいことが起こっちゃった。《ネタバレ》
大竹の復讐により、我が子(大竹の子でもある)を殺されたナマセが、悲しみにうちひしがれ倒れこむというクライマックス。
舞台後方の扉が開き、パァーーーーと眩い光が一面に広がりだす。
が、その先に見えたのは………なんと搬入口(とおぼしき場所)。普通に大きなトラックや乗用車が停めてあるし、禁煙なんて文字も見える。極めつけは、そこを2人の清掃員が通ちゃった(しかも、2人のうちかたっぽが振り返り、やべっなんか舞台から俺達丸見えだよっ!って感じでそそくさと隠れる)!もうその後は、ふき出ててくる笑いをこらえるのに精一杯で、アタマまっしろ。セリフも全く覚えてない。
それにしても、いったいこれはなんだったんだろう。現実と虚構を一気につなぐ演出とも思えなくもないけど、私には明らかに「やっちゃった」の方に見えたんだけど。はてはて正解は?詳しい方教えてください。
ちなみに、私の次の髪型が決定しました。今度は「メディアの大竹しのぶヘアー」です。坊主ぐらいの短さに、上は若干長めのモヒカン風味。まあ、少なくとも大竹しのぶがしている時はクールでした。


後日談:事故だと思った問題の“やっちゃた”シーンはなんと、ニナガワの演出でした。私はまんまとやられてたわけです。
ああ、でももしあの清掃員までが演出だったと考えると……。くそー、ニナガワ度し難し。