パニック・ルームの中のパニック・ルーム

『PANIC ROOM』(邦題:パニック・ルーム
製作:2002年 アメリカ 監督:デヴィッド・フィンチャー 出演:ジョディ・フォスター/フォレスト・ウィッテカー/ジャレッド・レトークリステン・スチュワート/ドワイト・ヨアカム

3人の強盗に押し入られた母と娘は秘密の隠し部屋に身を隠すが……。「セブン」ファイト・クラブ」のデヴィッド・フィンチャー監督が「羊たちの沈黙」のジョディ・フォスターと組んで放つ驚愕のサスペンス・スリラー。


ネタバレがはじまった。
最近、金曜ロードショー(まだこの名前で放送しているのだろうか。もう海のオープニングではないことは知っているが)でやっていたので、時系列的には狂うことになるがここで書いてしまう。この映画について気になることはひとつだけである。すなわち、
パニック・ルームに入れられてしまったのはむしろあの犯人らの方なんじゃないのか?
ということである。一般的なスリラーの構図ならば、犯人→主人公(女)というのが基本である。しかし、この映画では、どう考えても、主人公(ジョディー)→犯人という構図に見えて(思えて)しょうがない。あのジョディーが犯人と(つまるところ)鬼ごっこをしているシーンなんか、まさにどこからどう見てもアングル的(映像の配置構図的)にジョディーの方がスリラーにおけるスリラー側(殺人側)である。また、スリラーにおける被害者側の重要な要素である、パニック。死。を備えているのも、犯人側である。うむ、まだ状況証拠不足は否めない。しかし他に例を記すのはめんどくさい。ならばニーチェ的に疑問を呈すのみで放置してしまおう。
では、映画パニック・ルームで、あなたは、ジョディ(主人公)側、犯人側、どちらの方がかわいそうに見えますか?
もし仮にデヴィッド・フィンチャーが裏設定で、ファイト・クラブのように、パニック・ルームに入り込んでしまったのは実は犯人側だった!、という大どんでんオチを設けていたとしても、言えることは、この映画はつまらない。