最後の清算 映画篇(11)

Iは音漏れ(の音)が嫌いじゃない。そこに雨垂れ(の音)と同様、幾ばくかの哀愁を感じるからだ。だが今日のあれはなんだ(しかしまあ、この言葉こそいったいなんだ?であり、何に向けて発せられているのだろうか?)。あれではまるで両耳にBOSEのスピーカー(ポップ)をくっつけているみたいじゃないか。その音量(怨霊としてもいいほどの)は、言葉通り、馬鹿でかい。これ以外に形容の術はない。だが、この「馬鹿」は(無論)形容詞であるが、名詞でもあり、かつ述語でもある、マルチな才能を持っているから、馬鹿にできない。