蛾像

ハイヴィジョンデジタル放送などで鮮明になったテレビ画面から浮き上がってきたのは、厚く塗られた化粧と荒れた肌だった。        顔面。
街で。ふと、足元を見ると蝉骸。何の変哲もなく転がる蝉の死骸は、背伸びした(夏の)中学生と同じぐらいいい。


もしわれわれの状態がほんとうに幸福なものだったなら、それについて考えることから、われわれの気を紛らす必要はなかったろう。

                      (なんとなく)パスカル『パンセ』から