ヘンテコは「サブ」じゃない。「マルチ」だ。
僕の身振りであり、いつも心に泊めておくようにしている思いが、この頃ますます強くなってきたので、引用なんてしてしまおう。
それからベックだけは十代のうちから聞いておきなさい。
「ベックって……これ? なにか……ヘンテコな音楽」
それがいいのよ、と祖母は言った。人生はヘンテコなの、だから、それがリアリズムなのよ。
〔古川日出男『LOVE』148頁〕
こんなことをわざわざ心に泊めておく必要があるのは、逆にいえば、それだけ自分の周りに「正しさ」が溢れているからであり、(楽だし)つい自分も「正しく」なりそうになることに、クギをさしておくためでもあるのだけど…。