クロッシング・ザ・ブリッジ ~サウンド・オブ・イスタンブール~ [DVD]

クロッシング・ザ・ブリッジ ~サウンド・オブ・イスタンブール~ [DVD]

イスタンブール+Einstürzende Neubauten+トルコ版『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』と来たら見るしかない。
クロッシング・ザ・ブリッジ」というタイトル通り様々な交差がある。
映画技法的に,素早いカットの切り返しによる,ミュージッククリップ的クローズアップの描写とドキュメント的描写のクロス。時間的に、イスタンブールにおける、過去(歴史)と現在(現状)のクロス。言語的に、(少なくとも)トルコ語と英語とドイツ語のクロス。音楽的に、ヒップホップ、ロック、パンク、民族音楽のクロス。民族的に、トルコ人、ドイツ人、アメリカ人、クルド人…のクロス。
ブエナビスタ〜』のようにコンサートという形でもって最終的に「問題」(ないし物語)を回収するのではなく、結局、最後まで、「問題」は宙ぶらりのままであり、そこが(遍在する音楽の解放性とともに)かえって「問題」の根深さを浮き上がらせる。
イスタンブールという都市の記憶が描く、境界線上のドキュメント。かなり好き。
恋する惑星 [DVD]

恋する惑星 [DVD]

ウォン・カーウァイ監督。急激で急速なカットの転換と、走るシーンでの早回し、赤いフィルターの映像、そして、香港という街がもつ(ネオンの雑多な色彩等)土地的な「ノイズ」は、映像空間に「荒さ」(「暴力」といってもいいかもしれない)を植え付ける。だけでなく、それをしっとりとした(ときにポップな)恋物語とモノローグによる描写が包むからヤバイ。見たのは少し前だが、今でも強烈に映像が残像中。
(映画における)「音」に関する言及もある。
タランティーノがこの映画を絶賛したらしいが、全く同感。
アカルイミライ 通常版 [DVD]

アカルイミライ 通常版 [DVD]

「立教ヌーベルヴァーグ」。黒沢清監督。それが何を意味しているのかは考察の必要があるが、主題的にも、形態的にも映画内のあちこちに「クラゲ」がいる(アカクラゲそのものはもちろん、浅野忠信の髪、ないしオダギリジョーの服装、等々)。
描写に関して。日本映画における(セカイ系に対し)「アスミエナイ系(ないしセツナ系)」の描写は(静かな人物がキレる等)どこかいつもステレオタイプで、どこかいつも(ただの)「ワガママ」にみえる。