反復 (岩波文庫)

反復 (岩波文庫)

反復。愛の物語を借りた「反復」思想の実演販売。理論的な体裁をとっていないせいもあるだろうが、キルケゴールの(内的な自由としての)「反復」は未だよく具体化して感じることができていない。
「笑劇」の箇所は面白い。

どれほど豊かに言葉を重ねても、どれほどの感嘆の激情をもやしても満足できず、いかなる表現、いかなる身振りも心を満たさず、思いきって奇抜な跳躍かとんぼ返りでもするのでなければとても気持ちがおさまらなぬといったような時期を、生涯に一度も経験したことがないなどという人間は、おそらく1人もいないだろう。そういう経験をした個人は、おそらくそれから、ダンスを習ったことだろう…
                 〔キルケゴール『反復』桝田啓三郎訳、63頁〕

言語の限界に「ダンス」が登場する。