盆堀さん (BEAM COMIX)

盆堀さん (BEAM COMIX)

なんと読むのか、この『盆堀さん』(ぼんぼりさん?)の登場人物は「ボンクラ」ばかり。だが、それをヒロイズム的なヒーロー像に対するアンチテーゼとは言うまい。この『盆掘さん』にとって、「ヒーロー」という概念などはどうでもいいのだから。
ダメ人間を描く際にありがちな、毎度なにかに失敗するなど、ドジなシークエンスを連続させるのではなく、ただ日々の身ぶりそのもの(エートス)がダメという、身から出る錆的なダメ描写は、マチエールのしっかりした線とも相まって、哀愁さえ漂う。「カントクシリーズ」で描かれる、どうしよもなさのあまり出てしまう「笑い」など、とくに好き。
機動旅団八福神 7巻 (BEAM COMIX)

機動旅団八福神 7巻 (BEAM COMIX)

核爆発でも壊れない「絶対防御」の福神の内で、悩み嘆き葛藤する(壊れる)パイロッツというコントラストはそろそろ暑苦しい。
全体像のみえない、戦争や国家の象徴の「破片」だけを集めたような、現代(ないしポストモダン)っつぽい舞台設定はおもしろいのだが、このごろ、「戦いマンガ」に終始していて、スポコン(少年マンガ)化している感もある。
人を撃つことに対するリミッターのなさには、エヴァのようなライト感があるが、その暴力描写には「痛み」がある。