竜馬暗殺 [DVD]

竜馬暗殺 [DVD]

原田芳雄石橋蓮司松田優作の3人の(明らかに)「剥き出しの生」が展開する幕末肉劇。
ツィゴイネルワイゼン』でも『陽炎座』でもそうだが、原田芳雄には、めしを食うだとか、怒鳴る喚く嗤うだとか、こうした「ゾーエー」的な部分の力強さがある。「いいからシャモを食え!」なんて犬並のださいセリフをはいてもかっこいい俳優はなかなかいない。
というか、原田芳雄だけに限らず、ええじゃないか運動の衣装に身をふんした上記三人が、おかめのような滑稽な姿にもかかわらずかっこいいのは、そこに「ゾーエーの美」と名付けうるような美しさがあるからだろう。刀をふる松田優作に石で(!)応戦する石橋蓮司のケンカシーンは絶句もの。また、時代劇らしくない西部劇ブルース調の音楽も暴力的に不似合いで映画全体に漂うゾーエー(剥き出し)感をひきたてている。