アヒルと鴨のコインロッカー [DVD]

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伊坂幸太郎の、内容的にも、時間軸的も枠構造になっている複雑な同名小説を原作としているだけに、そのストーリーを(なんとか)映像化するので手一杯な感もある。というのも、よくいえば無駄がなく、わるくいえば説明くさい。
ただ、この奇天烈な中に悲しみを内包する瑛太の笑顔はくせになる。
ソナチネ [DVD]

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北野武監督。TAKESHI KITANOの初期代名詞でもある「キラースマイル」、「キタノブルー」が目白押しだが、それ以上におもしろいのは「喪」と形容しうるような「遊び」のシーン。たとえば、砂浜での人間紙相撲。なんなのだろうあれは。
と、「クール」な暴力。クレーンのシーンにおける、遂行している殺人という行為の残虐性に対する、村川(武)、片桐(大杉漣)ほかの無表情さ、そして上下運動するクレーンの無機質さのコントラストは、なんと冷たく、かっこいい。大林宣彦監督。みている映画がつまらなく、眠いときには、映画のカットのように、まばたきをぱちぱちさせると見るに耐えるようになるという、大林監督なだけに、相変わらずの、連想ゲームのような高速カット割りはいつまでも斬新。
物語はともすればノスタルジーともいいうるのだろうが、断片的なカットをつなぐ独特の極端なオフ・モノローグ(一人称)使いといい、それよりもなにか「記憶の古層」といいたくなる。