反省しようそうしよう
回顧録。なにか酔ってひどくやらかした気がする。「空しい」という感情に、「空(そら)」という字をあてたなのはなぜなのだろう。
階段ホールの入り口は黒い穴のようだ。空間の破れのよう。黴臭い風が吹いてくる。どうも足許がふらついている。でも外見上、おれは、うまく歩いている。おれは外見上は普通に歩けているように見えているのだ。再度、飛行機が空を引き裂いた。穴の手前で振り返ると、青空。きれぎれになって腐敗していて。(104)
- 作者: 町田康
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2000/07/07
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知覚の歴史的考察といった大きな響きではなく、むしろ雨垂れに未だ残る過ぎ去った昨晩の雨の気配のようなかすかな、失われていく時代のため息を聞き撮りたい。