綴じたるが花のごとく
日記、吃ることと書くことについて。寺山修司著『あゝ、荒野』の主人公「〈バリカン〉が生まれてはじめて買った書物は三二〇ページの厚さの『吃りの治し方』であった。」三島由紀夫の『金閣寺』の主人公、溝口もまた吃りだった。日本のよく知られた文豪たち、大江健三郎や川端康成もかつて吃りだったと聞く。口舌が滞る、吃りというこの口語障害は(いや、吃りこそがというべきだろうか?)彼らの文語への欲望を煮え立たせたのかもしれない。
視覚の障害が聴覚を「異常に」発達させるように、閉じた弁の内側へとせき止められた力はその間歇する出口を探しつづける。異常とはまた力の移譲でもある。
との考えから、15日まで、口語を閉ざすことにします。
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