コリーダ : 闘牛士の死

ピカソ展−躰とエロス−に行ってきたのでそれに関することを。
わたしはピカソについて゜の字ほども知らない。もちろんキュビスムと言われてもなんのことなのかサッパリ。だから、分からなかったというのが正直な感想である。でも分からないとつまらないは違う。現にピカソ展はおもしろい。そこでは全てが裸にされる。愛も、死も、身体までも、究極にデフォルメ化され、プリミティブな姿に組み換えられる。そこではもう、手は手である必要も、人間は人間である必要もない。そこでは人間は、ただの円と四角。肉体とセックスにすぎない。その裸の絵画の前では、どんな虚飾も通じなくなってしまう。逆に見ているこっちが見られているような感じさえする。理屈じゃない。「ただそこにあるだけでいい」という異様なまでの存在感。きっとこれが本物なのだと思う。