ほぼ日刊糸井新聞より

「私もあの人のようになりたい」。そう思う時がある。そこで私はむしょうにその人に、どのような生活をおくっているのか尋ねたくなる。その人と同じ生活をすれば、その人と同じような人間になれると思うからだ。だが、たとえ、私がその人と同じ生活をしてきたところで、私がその人と同じ人間になることはできない。なぜなら、私はその人ではないから。私は私でしかない以上、私の枠を超えることはできない。たとえ私がどんなに劣等感を抱えようとも、私を生きることしかできない。そのことを哀しいと思うかは分からない。ただ、ひとつだけ、どこを探しても私はいなかったんだ。