マツケンサンバ

今年の紅白歌合戦で、新潟県出身の小林幸子は恒例の豪華な衣装をやめ、故郷への思いを込めて「雪椿」を歌うことになった。その理由は「ふるさとが大変な時に豪華な衣装で出演する気にはどうしてもなれない。復興にエールを送る気持ちを表現できれば」ということだそうだ。また、似たような話で、いま新潟の観光協会地震の影響から相次ぐキャンセルでたいへんな観光客不足らしい。宿泊をキャンセルした人たちは理由として「余震が恐い。被災地の人たちがたいへんな時に自分達だけ遊んでいるのは気がひける」と語っている。でも、私は被災地のひとたちにエールを送る、想うというのはこういうことではないと思う。被災地の人たちの苦労を偲んで、いっしょに悲しんでいてはなにも変わらない。悲しみに悲しみを加えても生まれてくるのは悲しみだけ。だったら、悲しみに楽しみを加えて中和させた方がいい。だから、幸いにも被害を受けなかった人々は被災地の人たちの分まで楽しまなくてはいけない。楽しむことで被災地の人たちにエネルギーを与えなければいけない。そしてやっぱり小林幸子は紅白であえていつもよりド派手な衣裳で登場しなくてはいけない。こんなときだからこそ「雪椿」じゃないんだ。こんなときだからこそ必要なのは「マツケンサンバ」なんだ。オレッイ。