ロミオとジュリエット

演劇『ロミオとジュリエット』を観たのでその感想を。

ロミオとジュリエット』演出:蜷川幸雄 出演:藤原竜也/鈴木杏 私は基本的にロミオとジュリエットが好きなのだが、この演劇はふつうにおもしろかった。個人的にオススメしたいのはどのロミオとジュリエットにもいえるのだが、ティボルトが死ぬまで。藤原竜也演じるロミオと鈴木杏演じるジュリエットの詩的で情熱的なやりとりはこっちが恥ずかしくなるくらい愛らしいし、マキューシオとティボルト、ティボルトとロミオの決闘の猛々しさの中にある悲しさには言葉を失ってしまう。とくにマキューシオの死のシーンは圧巻。普段陽気で異彩な魅力をみせるマキューシオが放つ憎悪に満ちた言葉のひとつひとつには両家の憎しみの深さとむなしさが集約されているように思う。また、そういったシーンを笑いをまじえつつ華やかに、その上、中世で終わらせず、どこか現代の雰囲気を漂わせる蜷川の演出のうまさには目をみはる。途中、鈴木杏がセリフをかんでしまったのも、舞台ならではで楽しめた。藤原竜也も若々しく華があり、うまい。全体的には明るめのロミオとジュリエットと言える。