覆水盆に還る

私は今とてもムカついている
何って、時間にだ
この時間という概念はなかなかにタチが悪い
考えついた人は、もう生きてはいないだろうけど
安らかに眠ってないで反省してほしい
この時間というやつのせいで
もう私の人生はがんじがらめだ


だら〜と、まあ永遠に
宇宙も有限である以上、時間も有限だ
なんて話しはここでは抜きにして
その永遠に流れていてくれる
流れているっていうか、包んでいてくれるなにものかを
時間、「時の間」と規定してしまった瞬間に
すべてが決まってしまった
1日は24時間に、1時間は60分に、1分は60秒に、
1秒は……、知らないに、
明るくなって暗くなる太陽の満ち引きは
朝、昼、夜に
それと同時に、私の「生きる」という行為なのか義務なのかそのこと自体も
時間という家庭教師にいつも見張られてしまった
現に今日1日、現段階でやったことといえば、
「gift」という古川日出男の短編集を読んだだけなんだけど
私の家庭教師はそれを許してくれない
「6時間あって短編集一冊しか読んでないの!?」なんて
スルーしてほしいところをやいのやいのついてくる
東京FMだってさっきからずっと
いやがらせかと思うぐらい
「3時です、4時です、5時です……、(なのにあんたはなにもしてない)」
と時間の銃弾を私に撃ち込んでくる
ここまできたら、これはもう列記としたガン・クライムだ
私はもう死んでしまった


でも、私だってずっとこの家庭教師さんをつけてるわけじゃない
私だって昔は家庭教師なんて必要なかった
それは赤ちゃんのときだ
もちろん、赤ちゃんのときの記憶はないけど
赤ちゃんときは時間なんていうしょーもない概念はなかった
ところかまわず、食っちゃ寝、食っちゃ寝
罪という言葉も知らず寝散らかすこと山の如し
ああ、なんてフリーダムなんだ
赤ちゃんの前では時間さえもひれ伏し
身体の中に内包される
赤ちゃんは人生を創造している 神


でも、もうそんな時代は戻らない
てか、戻る戻らないというこういった感情も
時間のバカが生んだんだけど
とにかく、ネバーカムバック&ジ・エンド


っていうわけじゃない
希望はまだある
年寄りだ
実は彼/彼女らも時間という家庭教師なんてとっくに解雇してしまっている
これまた神様の域だよ、ばあちゃん
あんたお風呂に4時間って……
無駄遣い極まりない
いや有限でないから無駄じゃないか
ありもしないから有限でも無限でもない


彼/彼女らにとって、生はすべて自分のものだ
生は自らに回帰し、生は自らで構成され得るものとなる
これをニーチェ風に、爺婆赤ちゃんの永劫回帰とでも名づけよう


生まれてから少しすると私は死んでしばらくすると生きかえる
なんだ、人全員がリザレクションを行っているじゃないか




とまあ、フルカワさんにインスパイアされて
こんなもの書いてみました


さあ、そろそろ18時だし
晩飯の支度をしなくっちゃ




おつかれさまです