「象の消滅」 短篇選集 1980-1991

「象の消滅」 短篇選集 1980-1991

枕読。こうして短編集で読んでみると、村上春樹というのは、(見聞する)サリンジャーやピンチョン、ホーソーンなどのアメリカのポストモダン系作家の系譜にきっちりと位置しているように読めて面白い。
春樹の物語はエリスが『アメリカン・サイコ』で提示した「砂漠」後の世界だから、基本、憂鬱で暗いのだけれど、女の子が出ると、描写に花が咲くから不思議だ。
ただどうだろう。春樹(のテクスト)は「大きな物語の終焉」を大きく描く傾向があるように思えるから、短編はあまり向いていないんじゃないだろうか。
読んでる時の感覚としては(いまや)春樹って「時代小説」に近い気がする。そろそろ一度だれか彼のテクストをきっちりとディスクール分析にかけてほしい。