真説 ザ・ワールド・イズ・マイン 3巻 (ビームコミックス)

真説 ザ・ワールド・イズ・マイン 3巻 (ビームコミックス)

ヒグマドンが大館市内を破壊するシーンの「暴力圧」は圧巻。ただ、たしかにグロいが、そこに見えるのは暴力の讃歌ではない。暴力讃歌としては、この漫画は人間に対する慈しみに満ち溢れている。9.11.の「力」が示した映像は、追突する航空機と崩壊するビルのカタストロフのみであり、人の生死のドラマはすべて無慈悲な匿名だった。だからこの漫画の暴力はまだまだ生やさしい。だが、示される暴力がやたらと人間臭くドラマチックで、暑苦しいにも関わらずこの漫画を読んでしまうのは、この漫画が「反道徳」という誠実な世界を見せてくれるからだろう。