私の人生は私のものだから私の勝手だなんて思うのは超傲慢だ
どうしてもがまんできないこと、歴史について。これまでの歴史は強者の歴史、つまり強者によって語られてきた強者のための歴史であったという。だからこれからは逆に歴史は弱者の歴史になる、わけがない。というのも弱者はそもそも歴史をつくらない、歴史というシステム自体が強者が作り出したものだからだ。だから、強者の歴史はこれから弱者に目をむけようとも、それを語る者は強者に措いてはあり得ない。たとえ出自が弱者であろうとも、歴史という巨大なシステムを語ることで構築する以上その弱者はすぐさま強者になる。
これまでは意味論的、強者/弱者の違いについて考えていたがもちろん社会的な強者/弱者、より具体的にいえば、資本的、文化資産的な強者/弱者の違いも存在する、いわば身体化された階級というカテゴライズが。ここで弱者に認定されているものは多くの場合、決して歴史の構築に参加できない、というのも、そいつはそもそも弱者に生まれついたからである。余計な美辞麗句めいた同情するだけで金もくれないナルシスティックな論理はいらない。弱者は歴史を構築できない、というのも歴史は強者のものであるからである。Paul E. Willisの『ハマータウンの野郎ども』やEdward Wadie Saidの『オリエンタリズム』、Michel Foucaultなどの著作内で展開される権力批判は弱者への眼差しで、愛で、あふれているかもしれないが、それは彼が弱者であることを意味しない、歴史について語る、語りえる者、弱者について語る、語りえる者、そいつはいつも強者だ。逆に弱者として現実に存在している以上、その者は歴史を語る権利をもたない。
- 作者: ポール・E.ウィリス,Paul E. Willis,熊沢誠,山田潤
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1996/09/01
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 182回
- この商品を含むブログ (81件) を見る
- 作者: エドワード・W.サイード,Edward W. Said,今沢紀子
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1993/06/21
- メディア: 文庫
- 購入: 12人 クリック: 114回
- この商品を含むブログ (154件) を見る
- 作者: エドワード・W.サイード,Edward W. Said,今沢紀子
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1993/06/21
- メディア: 文庫
- 購入: 13人 クリック: 31回
- この商品を含むブログ (59件) を見る
- 作者: ミシェル・フーコー,Michel Foucault,渡辺一民,佐々木明
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1974/06/07
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 55回
- この商品を含むブログ (178件) を見る
お前の生活がお前のものだなんて大きな「間違い」だし、生きないのはおそろしく贅沢な行為だ。